コロナウィルスが働き方を変える - 自宅の子供部屋から40億ドルの事業を采配するインポッシブル・フーズのCEO

2020/03/26

植物由来人口肉製造のユニコーン企業、インポッシブル・フーズのブラウンCEOは、スタンフォードの自宅でたくさんのアイデアと共に目覚め、オフィスに行き、同僚たちとアイデアについて議論するのがいつもの習慣だった。

コロナウィルスのパンデミックはこの習慣を一変させた。

バイオケミストリーの専門家でもあるブラウン氏は、ウィルス拡散防止のためのカリフォルニア　ベイエリアのシャットダウンや在宅勤務の必要性を十分理解している。65歳のブラウン氏は、今は自立した子供たちがかつて使っていた自宅の子供部屋をホームオフィスとすることにした。子供たちが昔書いた似顔絵が壁に残っている部屋にビデオコンフェレンスシステムとコンピューター、文具を運び込んだ。

「今はこの小さな子供部屋オフィスからほとんどの仕事をしているよ」とブラウン氏は語る。だが、在宅勤務は仕事の効率を落とし、自然と勤務時間は長くなり、また仕事に欠かせないインスピレーションを得る機会も減ったと感じている。

「誰かと仕事に関するちょっとした会話をするためにも、ビデオコンフェレンスの時間を決めなければならない。とても非効率的だ」

ブラウン氏は毎日90分間社内ビデオコンフェレンスを設定してはいけない時間を指定し、従業員が運動をしたり外の空気を吸ったりするための安全時間も設けることにした。自身もその90分の間にジョギングをしている。

インポッシブル・フーズは植物由来の人工肉を製造し、バーガーキングのインポッシブルワッパー等、ハンバーガーチェーン店やレストランで爆発的な売り上げを達成した。

この3月には5億ドルの資金調達ラウンドをクローズする。事業価値は40億ドルと推定される。コロナウイルスパンデミックは資金調達の最中に起こったが、無事にラウンドはクローズできそうだ。

レッドウッドシティにあるインポッシブル・フーズの本社の従業員は既に在宅勤務とする指示を出した。しかしオークランドにある製造工場ラインを止める決断は既に自宅勤務をしている役員達とビデオコンフェレンスを通じて注意深く行う必要があった。

役員達は自宅で財務状況を把握し、在庫を確認し、将来のあらゆるシナリオを想定した需要計算を行う必要があった。遠隔地で行われた様々な分析結果を踏まえ、新規に調達された資金の払い込みと、既に受注契約を交わしたシカゴの食品製造会社との契約内容から、オークランドの生産工場は4月7日まで閉鎖しても大丈夫だと判断した。

ブラウン氏は全社員に対し、工場閉鎖中は正社員も時間給の臨時従業員も全て有給とする通達も出した。

「インポッシブル・フーズは社会が対面する問題を社会と一緒に解決していく義務がある。我社従業員はコロナウィルスによる生命の危険にさらされているわけではないが、社会の為に生産活動を一時停止する。代償は高いが仕方がない。インポッシブル・フーズが危機に従業員を見捨てなければ、会社が大変な時に従業員は忠誠心を持って応えてくれるはずだ。事業は長期的視点で築いて行かなければならない。」

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。
https://www.wsj.com/articles/impossible-foods-ceo-on-running-a-4-billion-startup-from-childrens-bedroom-11584627688?mod=searchresults&page=1&pos=