大卒内定者9年ぶり減 銀行・証券2ケタ減
日本経済新聞社がまとめた2020年度の採用状況調査で、主要企業の大卒採用の内定者数(20年春入社)は、19年春入社数と比べ0.5%減だった。前年実績を下回るのは9年ぶり。銀行・証券がともに2ケタ減と採用抑制を続けていることが響いた。景気動向の不透明感が強まり採用に慎重な姿勢となっている企業もでてきた。
主要企業1035社を対象に10月1日時点の内定者数を聞き、924社から回答を得た。大卒者は大学院卒も含む。文系が減、特に金融の採用減が大きく、理系は採用増だが採用に慎重になる製造業セクターも増えている。採用増となった理系の人材も量より質を求められる時代になっている。
大卒の内定者数は11万8837人。内定者数が前年の入社数を下回るのは11年以来。10年に行われた11年春入社の採用活動は、リーマン・ショックの影響が大きく企業が採用を極端に減らしていた。
この10年ほどで採用を巡る環境はガラリと変わった。
イノベーション(技術革新)の波に直面するのが金融業界だ。銀行は11.1%減、証券は26.4%減といずれも2ケタ減。長引く低金利による収益環境の悪化に加え、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用による単純業務の自動化が進んだためだ。
三菱UFJ銀行は内定者が530人と前年より44.7%減らした。みずほフィナンシャルグループも21.4%減の550人。メガバンクは店舗などの削減も進める計画で、業務体制の変化が採用抑制につながっている。野村証券は44.7%減の333人、大和証券グループも29.4%減の480人だ。投資信託の販売減少などが背景だ。
全体の集計から銀行と証券を除けば内定者数は1.1%増となる。ただ、製造業では自動車・部品が5.5%減、機械が3.9%減となるなど19業種中で10業種がマイナス。製造業は19年度調査で前年度割れは5業種で、採用減は様々な業種に広がっている。
電機も1.3%減とマイナスに転じた業種の一つだ。日本電産はグループで内定者数を249人と19年度採用実績と比べ38.8%減らした。「米中貿易摩擦などを背景に、世界経済の不透明性が高まっている」ことを理由に挙げた。景気動向が企業の採用活動に影響している一面も出てきた。
今回の調査では53.8%の企業が当初の採用計画と比べて実際の内定者数が未達となった。これまでは人手不足が響いていたが、大卒者の採用に関しては状況が変わりつつあるようだ。
製造業派遣のUTグループは内定者数が388人。採用計画を19年春の入社実績より142人少ない1050人に設定していたが、それでも達成率は4割に満たない。企業からのニーズが高い理系人材の確保に動くが、「顧客からの需要が人材の量より質になっている」(UTグループ)という。優秀な人材は他社との争奪戦が激化している。
採用を増やしている業種もある。出店を拡大しているドラッグストアなどを含む「その他小売業」(7.2%増)、次世代通信規格「5G」などへの投資が増えている「通信」(9.4%増)だ。調剤薬局大手のアインホールディングスはグループで2.2倍の900人、楽天は1.7倍の700人と内定者を増やした。
以上、日本経済新聞より要約・引用しました。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50989380V11C19A0SHA000/
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