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車大手、中途採用広がる

 

自動車業界で自動運転など次世代技術に対応するため、中途採用を拡大する動きが広がってきた。トヨタ自動車は2019年度に総合職の採用に占める中途採用の割合を18年度の1割から3割に引き上げ、中長期的に5割とする。ホンダは19年度、採用全体の約4割に当たる約660人を中途採用に充てる。IT(情報技術)などの専門人材を中心に確保し、給与も実績に応じ評価する。日本の製造業の代表である自動車業界で中途採用が増え、日本型雇用は転機を迎えている。

日本で戦後長く大手企業を中心に続いた新卒一括採用や年功序列の雇用慣行は、労働力人口の減少や女性、高齢労働者の増加などで維持が難しくなっている。海外企業との競争もあり、電機大手などでは外部人材の採用拡大や、個人の能力に応じた賃金制度の導入など従来の雇用慣行を見直す動きが広がる。


トヨタ本体の給与体系は生え抜きと中途採用で区別していないが、中途採用はどの職層で評価するかで給与水準が決まる。中途でも幹部職で採用となると、初年度から年収1000万円以上から始まり、従来の年功序列を崩す可能性がある。成果主義を強め、柔軟に給与面で処遇する方針だ。

ホンダは11年度の中途採用は8人だったが、12年度以降は100~200人を採用してきた。17年度から拡大しており19年度は約660人に引き上げる。日産自動車は近年、新卒と同程度の中途人材を採用し、19年度は前年度から3割多い1050人の採用を計画する。スバルは技術系総合職の中途採用で19年度は8割増の129人を予定する。

AIやビッグデータ解析などの人材獲得を巡っては、米グーグルなど海外IT大手が日本で採用を積極化する。NTTドコモなど日本勢も最大3000万円超の年収を提示し、中途人材の獲得に動く。トヨタなども待遇で対抗する必要がある。

自動車業界で中途採用が増える背景には、自動運転や電動化など「CASE」の対応に迫られていることがある。米アルファベット傘下のウェイモや中国アリババ集団などIT大手が自動運転の研究開発に力を入れ、競争は激しい。自動車大手は異業種の出身者の意見も取り入れ、迅速に事業展開しやすくする狙いだ。

日本経済新聞社が4月にまとめた採用計画調査(最終集計)では、主要企業の19年度の中途採用計画数は6万6763人となった。中途が採用計画全体に占める割合は28.3%と18年度より7.5ポイント増えた。トヨタやホンダの総合職採用の中途割合はこれらの平均を上回る規模になる。

自動車各社は給与を手厚くすると同時に、人が集まりやすい都心部に拠点を構え人材を確保する。

トヨタは19年度、開発などを担当する「技術職」や調達・人事部門などを担う「事務職」を合わせた「総合職」の中途採用者の割合を最終的に全体の3割とする。今後は半数を中途で採用する方針だ。人工知能(AI)や画像認識などの専門人材を中心に採用を強化するとみられる。

同社の直近5年度の総合職の採用者数は650~800人ほどで、このうち中途採用は全体の4~13%だ。今の規模の採用が続けば、中長期的には年300~400人の外部人材を総合職として採用することになる。

トヨタの自動運転技術の開発子会社、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)は7月、東京・日本橋に約1千人が入るオフィスを開いた。ジェームス・カフナー最高経営責任者(CEO)は「新たにTRI-ADの社員として採用した社員の半分以上は日本国外から来ている」と話す。

四輪開発の拠点が栃木県にあるホンダは19年に東京・赤坂にデジタル領域の開発拠点を設け、業界の垣根を越えた技術者の交流を進めている。

以上、日本経済新聞より要約・引用しました。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50497670S9A001C1MM8000/

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