高級ブランド、空港への出店加速
空港で過ごす時間をあえて増やしたい人はまずいないが、高級ブランドの経営者は例外かもしれない。
世界の一流ファッションブランドは2016~18年に空港内に33店舗オープンさせる一方で、他の場所では出店ペースを鈍化させている(不動産仲介業者サヴィルズ調べ)。今年はさらなる出店が予定されており、トルコの最大都市イスタンブールの新空港ではクリスチャン・ディオール、グッチ、エルメス、ルイ・ヴィトン、プラダなど13ブランドが賃貸契約を結んでいる。
旅行中の高級品購入が増える中、各ブランドはその動きを逃がすまいとしている。 ベイン・アンド・カンパニーの集計によると、2018年の空港内の売上高は前年比で7%増えた。これに対し、デパートの売上高は4%減、市街地の直営店舗は横ばいだった。空港の売上高を上回ったのはオンライン販売のみだった。
世界的な観光旅行ブームがこのトレンドを後押ししている。国連のデータによると2018年には外国に旅行した人が前年比6%増の14億人に達した。航空旅客はより裕福な傾向があり――格安航空がこれを幾分変えつつあるが――空港という立地はその消費を捉える効率的な方法となっている。また、空港自体も商業収入への依存度を高めている。航空便を獲得するための空港間の競争激化が、着陸料の下押し圧力となっているからだ。そのため空港側は、世界の高級ブランドが求める水準にターミナルを改装することもいとわない姿勢を強めている。
ロンドンのヒースロー空港やパリのシャルル・ドゴール空港など世界屈指の利用客数を誇る国際空港では、ブランドの場所取り合戦が激しくなっている。そのためテナント料は高く、通常は店舗売上高の20~30%を求められる。
だが、ブランドはそれを支払ってでも、特に中国の消費者に近づこうとする。世界の高級品支出の3分の1を中国人が占めており、彼らは海外旅行では店をあちこち回って買い物する傾向があるからだ。高級ブランドがシドニーやシンガポールに積極的に出店するのは、これらの空港を経由する中国の観光客が非常に多いためだ。
空港のもう一つの魅力は、「店舗面積あたり売上高」という重要な尺度に強みがあることだ。小売りコンサルティング会社のプラグマによると、営業時間が長いことや来店客数が多いことにより、この数値が街中のブランド直営店に比べて3倍高いこともあるという。小売業界でも空港は来店客数の増加が見込まれる数少ない場所の一つだ。国連世界観光機関によると、外国旅行者数は2030年までに現行水準の29%増となる見通し。
最後に、空港内ブティックは、例えばインドの一部の都市のように、高級なショッピング地区がまだ開発されていない有望市場に参入するチャンスとなる。今後、旅行客が空港の保安検査を通過した後に、グッチやエルメスといった名前を見かける機会は一段と増えるだろう。
以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。https://www.wsj.com/articles/luxury-brands-follow-the-money-to-airports-11553681663?mod=searchresults&page=1&pos=1
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