スタートアップ転職、年収７２０万円超　上場企業越え

スタートアップ企業への転職相場が上昇している。先日日本経済新聞の記事では、日本の平均賃金水準が他の先進国に逆行して低下しているとあったが、日本のスタートアップ企業はその平均トレンドの外にいるらしい。資金的余裕の少ないスタートアップ企業は、高賃金で優秀な人材を引き付け、少数精鋭で効率的に会社を運営していく必要がある。人材リクルーティングも従来の方法に限らない。

外資を除く創業10年未満の企業に転職した人の平均年収は2019年１～２月に720万円超と、上場企業の平均より100万円多い。過去７年のスタートアップ企業賃金上昇率も年平均で約５％と、上場企業（約１％）を大幅に上回った。新興企業が競争力強化へ専門人材を好条件で獲得。大手企業からの人材移動が増えれば、新しい産業の成長を後押しする。

　人材紹介大手のジェイエイシーリクルートメントによるとスタートアップ企業に転職した人の平均年収は調査を始めた12年は514万円だったが、19年１～２月は721万円と40％増えた。18年通年の水準からも20万円強増えた。

　東京商工リサーチの調査では18年３月期の上場企業の平均年間給与は約620万円だった。従来は大企業から新興企業に移ると年収が下がるケースが多かった。構図が逆転したことで、大手で経験を積んだ人材がスタートアップに転職しやすい状況が鮮明になる。

　ビズリーチ（東京・渋谷）によると大手企業からＩＴスタートアップへ転職した人の数は過去２年で2.5倍に増えた。国内スタートアップの資金調達規模が過去最高水準で推移するなか、調達資金を人材獲得に振り向けやすくなっている。

　中途採用をけん引しているのは電子商取引（ＥＣ）や人工知能（ＡＩ）などＩＴ関連のスタートアップで、特に「データ解析などのＩＴ技術者の需要が高い」（ジェイエイシー）という。

　株式公開を狙う企業が管理体制の充実に向け、「金融機関やコンサルティング会社出身者らを積極採用している」（ジェイエイシー）事例が目立つ。会計士の転職支援を手がけるワイズアライアンス（東京・中央）によると、スタートアップ企業の経理マネジャーの給与は直近で700万～800万円程度と「１年間で50万～100万円ほど上がった」という。

　経営者がネットを通じて有望人材をスカウトする「ダイレクトリクルーティング」と呼ばれる手法が浸透し、スタートアップが自社の魅力を直接アピールできるようになったことも追い風だ。大手も含めて求人が増える中で専門性の高い人材の給与は上昇圧力がかかりやすい。

　今後景気が後退局面に入るとの見方もある中で、株式市場が落ち込む前に上場をめざす企業は多いとみられ、専門人材の需給は引き締まった状況が続きそう。「報酬相場は大きく崩れることは想定しにくい」（ワイズアライアンス）という。

　日本経済新聞社が未上場スタートアップ153社を対象に18年12月にまとめた「NEXTユニコーン調査」では、２期分の中途採用人数が判明した100社の今年度の中途採用人数は計約3000人と前年度に比べ約４割増える見通しだ。採用人数が決まっていない企業でも９割が今年度は「増やす方向」と答えた。

　上場企業や外資系・コンサルティング会社出身者を採用し、経営企画や最高財務責任者（CFO）を任せる事例が目立つ。優秀な人材を採用するため、回答企業の71％が「能力・成果に応じた報酬制度」を導入。賃金・給料を引き上げている企業も45％に上った。

以上、日本経済新聞より要約・引用しました。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42688030Q9A320C1MM8000/

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