AI時代を生き残る「ハイブリッド職」とは？

2019/01/23

技術的思考と創造的思考双方が求められる時代に

左脳スキルと右脳スキルの融合。これが仕事で成功を収めるための新たな公式になるかもしれない。

驚異的なコンピューターである人間の脳は2つの半球に分かれており、それぞれが異なるスキルセットをつかさどっている。一般的には左脳が論理や分析的思考、右脳が直感や創造性と関連付けられている。

一部の雇用の専門家によると、将来有望な仕事の多くに必要となるのは脳の両側をうまく使うことだという。

　そうした未来はすでにある程度訪れている。技術的な思考と創造的な思考の両方を発揮するモバイルアプリ開発者やバイオインフォマティシャン（生命情報科学者）などだ。米労働市場分析会社バーニング・グラス・テクノロジーズの新しいリポートによると、そうした仕事は成長が最も著しく、給料が最も高い職業に属しているという。

同社は雇用主が求めているスキルを理解するために膨大な数の求人広告を分析した。それによって分かったのは、多くの雇用主がビッグデータの収集・分析やデジタル技術を使った設計といった新しい分野での経験を雇用者に求めているということだ。そうした役割には高度なコンピュータープログラムに精通していることに加えて、すべてのデータを活用するための創造力が必要とされることが多い。

こうした通常は珍しい組み合わせの複数のスキルが必要となる仕事を、バーニング・グラスは「ハイブリッド職」と呼んでいる。例えば、データ分析と広告、あるいはエンジニアリングと営業といったスキルを持ち合わせた人が求められる職業だ。バーニング・グラスのマット・サイゲルマン最高経営責任者（CEO）は「未来の仕事に必要なのは1つのスキルではない」と指摘する。「必要とされるのは幅広いスキルなのだ」

バーニング・グラスはそのリポートで、高いハイブリッドレベルが必要な職業とそうでない職業も区別している。レベルの高低は、その職業に従来から求められる条件の他に必要なスキルの数、そうしたスキルの専門性の高さなどに基づいている。

バーニング・グラスは2018～28年の雇用全体の成長率を約10％とみているが、最もハイブリッドレベルが高い職業の成長率は21％になると見込んでいる。

さらに、ハイブリッド職の報酬は従来のスキルセットを必要とする仕事よりも高い。例えばバーニング・グラスのリポートによると、典型的なマーケティングマネジャーの年棒は7万1000ドル（約780万円）。ところが、データベース言語のSQLに精通しているマーケティングマネジャーの平均年俸はそれを41％上回る10万ドルだ。また、顧客関係管理ソフトを扱える顧客サービスマネジャーは、平均年棒が4万9000ドルから6万ドルと22％跳ね上がる。