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「ストロー特需」で新素材 スタバやマックがプラ廃止

 

使い捨てのプラスチック製スーパーの袋、食器やストローは、分解されず、特に海洋汚染の主要原因となっている。プラスチックの袋が絡みついたウミガメの写真や、プラスチックのコップやストロー、ペットボトルが山積する改定の写真を、読者は見たことがあるのではないだろうか。

欧州では官による規制だけでなく、民間の大手ファーストフードチェーン等も、プラスチック製食器の使用禁止に動き出した。そしてそこに日本企業が商機を見出している。

米スターバックスのストロー廃止をはじめとした脱プラスチックの動きが、化学メーカーに「特需」をもたらしつつある。カネカは、8月7日、土や海の中で分解するプラスチック素材の生産能力を5倍の年5000トンに引き上げると発表した。これまで自然分解素材はコストなどに課題があり用途が限られてきた。海洋汚染の原因となるプラスチック製品の使用禁止や素材切り替えが世界的な潮流となったことで、事業化に向けた動きが活発になってきた。

ストローや食器狙う

カネカが増産するのは土の中などに埋めると微生物に分解されるプラスチック素材。年間生産能力を1000トンから5000トンに引きあげる。約25億円を投じて高砂工業所(兵庫県高砂市)の既存設備を増強し、2019年12月に稼働させる。

同社製品は原料がすべて植物性で、一定の条件下で土の中では2年以内で90%以上、海水中では6カ月以内で90%以上分解される。世界的に規制の動きが広がるストローやフォークといった食器類のほか、港湾で使われる資材など新たな用途を狙う。設備増強によりサンプルの生産や顧客への提案をしやすくしたうえで、商業化に向け年2万トンへの引き上げも視野に入る。

同社が自然分解するプラスチックの開発を始めたのは1990年代はじめ。11年には試験販売用の製造設備を立ち上げるなど少しずつ前進してきた。ただこれまでは既存のプラスチック製品に比べて耐久性や伸縮性が低く、価格も高いというカベに直面していた。生ごみから堆肥をつくるための装置「コンポスト」用の袋など採用は限られきた。ただここにきて欧州などで規制が強化され新たな需要が見込めるとみて生産能力の引き上げに踏み切った。

三菱ケミ、植物由来プラを量産

カネカだけではない。多くの化学メーカーが自然分解するプラスチックの量産に動いている。三菱ケミカルはすべての原料を植物由来にしたプラスチック素材を開発し、18年度中に量産を始める。同社は17年から土の中で分解されるプラスチック素材の商業生産をタイではじめ、年間2万トンを製造している。現在は原料の半分が石油由来だが、全てを植物由来に切り替えることで環境問題に対応する。

独BASFも自然分解する素材をそろえており、カプセル式コーヒーマシン用の包装材料などに使われている。東洋紡も米デュポンから受託し、自然分解するプラスチック素材の生産を山口県内の自社工場で9月から始める。海外生産も視野に入れ、25年をめどに年産3万トンをめざす。

17年の生分解性プラスチックの世界生産量は88万トン。全世界のプラスチックに占める割合は1%未満でまだまだ存在感は小さい。22年には17年比で23%増の108万トンの生産が見込まれているが、足元でプラスチック製品に対する環境規制や外食チェーンによる自粛の動きが広がっていることで、需要が急拡大する可能性も出てきた。

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が5月、使い捨てプラスチック製のレジ袋や食器などの使用を禁止・抑制する方針を提案。すでにフランスでは17年から量り売り用の野菜や果物を入れる袋について、一定以上自然に分解できる素材が含まれていないと使用できないようにした。20年には食器でも分解素材を使うことを求める。

マクドナルドもストローを紙製に

こうした動きは産業界にも広がっている。米マクドナルドは英国とアイルランドで9月からプラスチック製ストローを紙製に切り替え、米コーヒーチェーン大手スターバックスも使い捨てのプラスチック製ストロー使用を20年までに全世界の店舗で段階的に廃止する。

自動車業界では欧州や中国などで環境規制が強まった結果、エンジン車から電気自動車(EV)へと競争領域が急激に変わりつつある。化学メーカーでも新たなルールができることで技術の潮流が変わり、新しい商機がもたらされる可能性がある。

以上、日本経済新聞より要約・引用しました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33886730X00C18A8000000/

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