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ソフトバンクとアップルとテスラの共通点

 

バッテリーの重要素材の供給確保に乗り出すIT企業と自動車メーカー

米電気自動車(EV)メーカーの テスラ と中国の大手企業がそれぞれリチウム生産会社と契約を交わした。これはEVや携帯電話のバッテリーに使用されるリチウムの大口ユーザーが、競って供給を確保していることを改めて示す動きだ。

リチウムのほか、やはりそれらバッテリーに使用されるコバルトは、EVの普及に伴って向こう数年で供給不足に陥る可能性がある。

こうした懸念を受け、リチウムとコバルトに依存するハイテク企業や自動車メーカーなど多くの企業が今、必死の契約に乗り出している。供給する側には、まだ生産を始めていない企業もある。

テスラは豪キッドマン・リソーシズと3年契約を交わした。キッドマンが5月17日に明らかにしたとこころによると、契約期間はバッテリーに利用できる水準の素材の生産が始まった時点で開始する。リチウム化合物の生産は2021年以降になる見通しだという。

中国のリチウム生産会社、天斉リチウムも5月17日、チリの同業SQMの株式24%をカナダの肥料会社 ニュートリエン から約41億ドル(約4540億円)で取得することを明らかにした。

アナリストの推定によると、スイスの グレンコア や米アルベマールなどの大手に加え、リチウム採掘会社は100社以上、コバルト採掘会社は約25社が存在する。その多くはカナダやオーストラリアで上場しており、一部は既に大口ユーザーとの契約を成立させている。バッテリー用金属資源会社への助言業務を手掛ける米ハウス・マウンテン・パートナーズの創業者、クリス・ベリー氏は「需要を満たすために早急に多額のの採掘投資をする必要があるだろう」と話す。

ソフトバンク は先月、カナダのリチウム生産会社ネマスカ・リチウムの株式約10%を約8000万ドル(約88億円)で取得した。同社がリチウム会社に投資するのはこれが初めて。ネマスカは現時点では少量のリチウム化合物のサンプルを生産しているだけにすぎず、鉱山と工場のフル稼働は2019年下半期になる見通しだ。

豊田通商 も今年1月、豪リチウム会社オロコブレの株式15%を約2億2500万ドルで取得したと発表した。

またアナリストによると、米化学大手FMCが年内にリチウム事業をスピンオフ(分離・独立)するほか、中国の複数のリチウム会社が上場する見通しだ。アップル、 BMW 、 フォルクスワーゲン (VW)も将来のコバルトの供給確保に取り組んでいる。

しかし、こうした早急な囲い込みは投機的バブルの崩壊につながりかねない。リチウムとコバルトの価格は2016年から昨年までに2倍以上に上昇したが、供給過剰への懸念から最近は冷え込み始めている。また、メーカーが異なる種類のバッテリーを使用し、リチウムやコバルトなどの高額素材の代わりにニッケルなどより安価な金属の比率を高めると一部投資家は見ている。

最近のコモディティー価格の下落を受けて、リチウムとコバルト生産会社の株価も下がっている。ネマスカの株価は過去1カ月に3.1%下落した。

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が2014年前半に大規模なEVバッテリー工場の建設計画を発表して以来、リチウムとコバルトを生産する企業の数も急増した。ベリー氏によると、当時はリチウム探査会社は16社程度で、コバルト探査会社は一握りしかなかった。

コバルトとリチウムへのエクスポージャーを求めるほとんどの投資家が採掘会社に投資しているため、最近の株価下落はどの企業が成功するかが不透明な現状を物語っており、この誕生間もない市場には依然リスクがあるとアナリストは指摘する。

多くのリチウムおよびコバルト鉱山は政情的に不安定な地域(コバルトの場合はコンゴ民主共和国、リチウムの場合は南米)に位置していることも、供給不足への懸念をあおっている。

一部の採掘会社がいかに世間から隔絶しているかを示すのが、ネマスカの例だ。ソフトバンクが昨年10月にネマスカに接触した際、ガイ・ブラッサCEOは世界最大のIT投資会社であるソフトバンクの社名さえ聞いたことがなかった。「ソフトバンクが何なのか全く見当がつかなかった」とブラッサ氏はインタビューで述べた。同氏によると、ソフトバンクがネマスカに目をつけたのは、コスト削減につながる特許取得済みの抽出技術を使用していたことが理由だった。契約は6カ月で成立した。

ブラッサ氏によると、残りの資金はケベック州政府と他の株主から調達する。その資金で鉱山を開発するとともに、リチウムをバッテリーの素材となる水酸化リチウムと炭酸リチウムに加工するプラントを建設するという。

ソフトバンクのような企業が採掘会社や化学会社に直接投資するのは、過去にはあまり見られなかったことだ。これまでは中国のバッテリーメーカーと提携するのが通例だった。

リチウムやコバルトを巡る状況が今後どうなるかはわからない。何であれ、リチウムやコバルトの金属採掘採掘会社は広範なテクノロジーの物語の一部に組み込まれつつある。

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。

https://www.wsj.com/articles/why-lithium-and-cobalt-producers-are-the-hot-new-acquisition-target-1526558400?mod=searchresults&page=1&pos=2

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