ゴールドマンやフォード…大統領令の米国入国制限、企業の反発拡大
トランプ大統領が1月29日に署名した中東7か国の市民の入国制限大統領令は、世界中の混乱と、米国民、米産業界の批判を招いている。大統領の政治決断がここまで広範囲の米国産業界批判を招くことは、オバマ政権以前の米国では考えられないことだ。
トランプ米大統領が打ち出した難民や「テロ懸念国」の市民の入国を制限する大統領令への反発が、ウォール街や自動車産業など政権に近いとされる伝統的な大手企業にも広がってきた。オバマ前大統領や政府内にも批判の声が上がり、米西部の州政府は政権を提訴した。ただ、トランプ氏は大統領令に反対した司法省トップを解任するなど強権を発動し、正当性を主張している。
金融最大手ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)は29日夜、社内の従業員向けのボイスメールで「政策を支持しない」と明言。「従業員と家族に支障が出る。当社は法の範囲内でできる限りの支援をする」と伝えた。
自動車大手フォード・モーターは30日「(我々は)米国や世界中で豊かな多様性を保持することに誇りを持っている。これが今回の政策を支持しない理由だ」とマーク・フィールズCEOとビル・フォード会長名で声明を発表。ゼネラル・エレクトリック(GE)のイメルトCEOも「GEは世界中からの賢くて献身的な従業員なくして存在し得ない」と表明した。
トランプ政権はゴールドマン出身者や同社と関係の深い人材を多く取り込んでいる。政権に近いとされる同社がトランプ政権の政策に反対を表明するのは初めて。アップルやグーグルといった移民や外国人の従業員が多いとされるハイテク企業でいち早く上がった大統領令への反発の声が、伝統的な大手企業にも拡大した形だ。
沈黙を守っていたオバマ氏は30日、退任後初めて声明を出し、入国制限が波紋を広げていることに「信仰や宗教によって個人を差別する考え方には、根本的に反対する」「米国の価値観が危機にさらされている」などと強調。全米に広がる抗議活動には「勇気づけられる」と称賛した。
ロイター通信などによると、米国の外交官の間で大統領令に反対するメモが回覧されていることも30日、判明した。国務省には外交官らが上層部に政策への懸念を伝える公式な仕組みがあり、その準備のためのメモだという。
米西部ワシントン州政府は30日、大統領令は違法だとして、トランプ大統領と政権幹部、国土安全保障省をシアトル連邦地裁に提訴した。今回の大統領令を巡り、州政府がトランプ政権を訴える方針を表明したのは初めて。
同州のファーガソン司法長官は会見で、国内外に混乱が広がっている今回の措置は「非米国的で違法だ」と主張。大統領令の執行停止などを求めている。訴訟にはシアトルに本社を置くアマゾン・ドット・コムとエクスペディアが支援を表明した。
以上、日本経済新聞より引用しました。
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