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ゴールドマンのトレーダー、逆境で1億ドルの利益

 

ウォール・ストリートの米ゴールドマン・サックスの投資不適格債(ジャンク債)トレーダーが、一人で一億ドル(約103億円)の利益を稼ぎ出した。リスク抑制が求められ、自己勘定取引が規制されるようになった米国新規制の下では異例の利益規模だ。

利益を上げたのはニューヨークで高利回り債デスクのマネジング・ディレクターを務めるトム・マラフロンテ氏(34歳)。事情に詳しい複数の関係者によると、今年1月からジャンク債を安く買い入れ、値を戻したところで利益を確定した。

これほどの利益は、市場が変化したときに大手銀行が介入し、債券トレーダーが比較的大きなリスクを取ってきた時代への回帰を想起させる。こうした動きは実際金融危機以降減っており、金融システムをより安全にするため、米議会は銀行が自己勘定する取引を制限し、自己資本を厚くするように義務付けている。

stock-exchange-738671_960_720金融各社は自己勘定取引部門の閉鎖や、債権をはじめとする有価証券の保有高を減らすことで対応してきた。一方で米政府は、金融機関が売り買いの間に立つマーケットメーカーとして自らの資金を使って証券取引を続けることは認めた。当局はバランスシート状の有価証券保有高が「合理的に考えられる短期的需要」を賄う程度を超えてはならないと定めている。

マラフロンテ氏はマーケットメーカーとして、どうしても債券を売りたい顧客から買い入れ、その後より高い価格で購入する投資家を見つけた。関係者によると、この価格差でゴールドマンが利益を懐に収めた。

金融危機後、米政府が銀行の保有できる有価証券を「マーケットメーカーとしての機能の範囲内」とした時には、実は様々な学者から「マーケットメイクと自己勘定取引の明確な区切りなどない」という意見が出ていた。短期間で一人のトレーダーが1億ドルの利益を上げることができるなら、その逆もあり得るということである。1億ドルはもちろん、銀行の資本勘定にとって大きな金額だ。今後もウォール・ストリートと当局による銀行規制は試行錯誤を続けそうだ。

以上、Wall Street Journal紙より要約・引用しました。

http://www.wsj.com/articles/how-one-goldman-sachs-trader-made-more-than-100-million-1476869402

One junk-bond trader at Goldman Sachs earned more than $100 million in trading profits earlier this year, an unusual gain at a time when new regulations have forced Wall Street to take fewer risks.

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