電通が米データ・マーケティング会社Merkle買収で合意 総額約15億ドル
8月8日、電通傘下のDentsu Aegis Networkは米ボルチモアに本社を置くMerkleの過半数株式を15億ドルで買収することで合意した。MerkleはCRM(Customer Relationship Marketing)を専門とするデータマーケティング企業で、企業のロイヤリティープログラムの構築や顧客データ管理サービスを提供する。また、顧客の購買性向データ分析やデジタルマーケティング技術の提供サービスも行う。
電通はMerkleの過半数株式を、主に現在の株主であるプライベート・エクイティ会社Technology Crossover Ventures等から買収する。Merkleの現経営陣と従業員は継続し、少数株式を割り当てられる。
2015年のMerkleの売上高は4.3億ドルであり、MetLife Inc.やGeico Corp、Dell Inc.等を顧客に持つ。MerkleのマーケティングシステムはFacebookと密に連動しており、例えばMerkleの顧客が所持する消費者のEメールアドレスから消費者のFacebookサイトに個別に広告を打つことができる。
電通はMerkleの持つ顧客データに裏付けられた特定マーケティング手法に価値を見出し、買収話を進めた。Dentsu Aegis NetworkのCEO、ジェリー・ブールマン氏は「顧客の属性に応じたマーケティングが業界の進む正しい方向であり、Merkleとの統合はDentsuのマーケティング手法をより個別消費者向けにカスタマイズすることを可能にしてくれる」と述べている。
Merkle側は、アジアや欧州市場への進出足がかりを模索しており、電通との統合は大きなシナジーを生むと判断した。
電通は現在売上高ベースで世界第5位の広告会社である。同社は過去にも海外マーケティング会社の買収を進め、日本市場への依存割合を縮小しようとしている。2013年には英Aegis Groupを50億ドルで買収し、それ以外にも過去3年で実に80件もの買収を行っている。2015年度の電通の海外売上高比率は54.3%となり、2012年度の12%から大きく伸びた。
電通の経営陣は、買収を通じた海外売上拡大戦略は今後も続ける意向を示しており、ソーシャルメディア、スマホを通じたデータマーケティングが今後の戦略的拡大領域だと述べている。
以上、Wall Street Journalより要約引用しました。
http://www.wsj.com/articles/dentsu-to-buy-majority-stake-in-data-marketing-firm-merkle-1470650402
www.wsj.com
Japanese ad giant Dentsu continues its aggressive buying spree by agreeing to acquire majority stake in data marketing firm Merkle
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