シティグループの若手引き留め策「一年の休暇をとってもOK」
米シティグループは若手の金融業界離れを受けて、1年間の有給休暇など、若手バンカー引き留め策を打ち出します。
計画には、より短期での昇進が可能な制度や、慈善活動のために1年間の休暇を取る機会が盛り込まれています。4週間ケニアでのマイクロファイナンス(小口金融)プロジェクトに参加できる制度も導入されます。更に、若手従業員が今より簡単に勤務地や部署を変えられるようにする方針です。
狙いはひとえに、若く優秀な人を採用し、引き留めることにあります。背景には、若い優秀な人材が金融業界とその業界ならではの働き方に疑問を持ち、IT業界での就職を希望するケースが増えていることがあります。
シティグループのマイケル・コルバット最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「バンカーには家族との生活、個人としての生活を両方バランスよく持ってもらいたい」と述べたうえで、「私のジュニアバンカー時代は、長時間働くことは通過儀礼のようなものだった。しかし大切なのは、どれだけ長く働くかではなく、どれだけ生産的であり、どれだけ活躍しているかである思う」と話します。
こうした取り組みが金融業界に対するミレニアル世代(1980年代〜2000年代初めに生まれた世代)の見方を変えられるかどうかは未だ未知数です。人材会社パーク・アベニュー・グループのステーシー・スティーブンス氏は「シティグループの政策は、ミレニアルに訴えると思う」としたうえで、「それでもやはり、2、3年で飽きて転職するのがミレニアル世代の性質だと考えている」と述べました。
シティでは、アナリストとして採用された9人が既に選ばれ、「サービス・イヤー」という組織が選んだ約40の非営利団体のいずれかで1年間活動することになっています。その間はシティの通常の給与の60%が支払われます。活動終了後に再度シティグループで就業します。
ジュニア時代がリッチな成功者バンカーになるための「下積み期間」とみられている状況について、見直しを行っているのはシティグループだけではありません。
ゴールドマン・サックス・グループは昨年11月、エントリーレベルのバンカーにアピールするため、プレゼン資料作成やスプレッドシートの再フォーマットといった定型作業に費やされる時間を減らすべく若手の仕事内容の変更を行うと発表しました。一方、JPモルガン・チェースは最近、若手従業員が非営利団体の抱える問題解決に就業時間の約15%の時間を充てることのできる制度を開始しました。バンク・オブ・アメリカは、より早い昇進へ道筋をジュニアバンカーに示しています。
以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。
http://www.wsj.com/articles/to-entice-millennial-bankers-citigroup-serves-up-new-perk-take-a-year-off-1458120603
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