英国におけるBig Fourの採用基準
プライス・ウォーターハウス・クーパース(PwC)、デロイト(Deloitte)、アーンスト&ヤング(EY)、KPMGは会計監査・経営コンサルティング会社のビッグ・フォーと言われています。イギリスだけで8万人以上の大学新卒者が応募してきます。現在では採用人数も金融危機前の水準に戻りました。
ただ、採用基準と方法には変化が見られます。採用側は従業員の多様化(Diversity)を求め、またITに精通している現代の若者を採用し、よりモビリティーの高いサービスを顧客に提供できるように、以前までは学歴と大学の成績で切り捨てていた大量のレジュメの選別方法を見直しているのです。
採用プロセスの入口段階で、採用者が注目し始めているのは学歴ではなく、オンライン・アセスメントで行われる人物・性格評価と、数字情報処理能力テストです。
PwCの採用担当者が言うには、「最近のイギリスでは、大学の成績にいくつAがあるかは、出身階級で決まることが多い。ロンドンの北出身か、南出身か、両親の経済力の有無などで決まってしまう。これでは応募者の会計士や経営コンサルタントとしての本当の資質を評価することができない。」とのこと。
Big Fourの面接官は先入観をなくすため、レジュメの大学名も見ないことにしました。
デロイトでは更に、大学の成績の相対評価も始めています。つまり、平均的にDの多い科目でBをとった学生は、平均的にBの多い科目でAをとった学生よりもデロイトでの評価は高くなるのです。
これらの方法を採用することにより、以前ではレジュメの段階で切り落とされていた学生も、面接までこぎつけることができるようになりました。そして、面接官が面接で注視するのは、以前と同様、やはり志望動機、学習意欲、コミュニケーション能力、チームワーク精神、問題解決能力です。
Big Fourの中で最も採用人数が多いのはPwCです。PwCでの採用の流れは現在以下のようになっています。
1.オンライン・アプリケーション - 約4万人の応募があります
2.オンラインによる性格アセスメント、数字情報処理能力テスト、理論的思考能力テスト - この段階で11500人に絞られます
3.電話面接 - 更に5千人に絞られます
4.パートナー面接 - 3千人に絞られます
5.採用通知 1700-1800人
日本でもブラインド面接等、学歴と採用方法を切り離すアプローチも出てきているようですが、今後はどうなっていくのでしょうか?
以上はFinancial Timesから要約引用しました。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/b8c66e50-beda-11e5-9fdb-87b8d15baec2.html#axzz40K8jH07Y
おすすめ記事
- 1
-
独立社外取締役(コーポレートガバナンス・コード)について
コーポレートガバナンス・コード 2014年6月にとりまとめられた「『日本再興戦略 ...
- 2
-
独立社外取締役(コーポレートガバナンス・コード)の独立性基準について
独立社外取締役(コーポレートガバナンス・コード)の独立性基準 2014年6月にと ...
- 3
-
これまでの社外取締役/社外監査役の属性・兼任等の状況と、今後の 独立社外取締役(東証ベース)の選任についての調査・考察
株式会社コトラによる社外役員実態報告について 人材ソリューションカンパニーの株式 ...
- 4
-
職場の同僚と理解し合えないのは性格の不一致~人間関係に現れる価値観のちがい 組織理解vs他者理解~
職場の人間関係におけるアプローチについて、価値観の多様性から考えてみます。 相 ...
- 5
-
バブル体験の有無が価値観の差~70年代生まれと80年代生まれの価値観にみる世代ギャップ~
上司が、部下に的確に仕事をしてもらうために知っておくべきこと 「今の若いものは、 ...