日本株式会社 - 女性採用は増えるも役員は男性ばかり
伝統的に女性に対する昇進機会の提供が少なかった日本の企業ですが、ここ最近女性の登用について真剣に考える企業が増えているのは事実です。
OECDの調べによると、実は日本の25-54歳の就業年齢女性就業率は近年飛躍的に伸び70%を超えています。数字の上では米国や欧州を抜いているのです。背景には安倍内閣による職場における男女平等のプロモーション、そして労働可能年齢人口の減少を目の当たりにし、企業が人手不足を女性の活用によって埋めることを真剣に考えざるをえなくなったという事実があります。
しかし、この数字の中身は良く分析する必要があります。社会、企業において重要な意思決定に携わる地位に就く女性の率は米国で21%、ドイツで14%、日本は8%です。つまり日本では就業している女性の大半が非正規雇用であったり、正規雇用でも非管理職に甘んじているのです。
日本を代表する大企業、例えば三菱UFJフィナンシャル・グループの49人の役員は全員男性です。トヨタ自動車の役員も全員男性です。何故でしょう。理由の一つに、日本の伝統的な終身雇用制度、年功序列制度があります。現在大企業の役員となっているのは1970-1980年代に採用された世代。その世代に正社員として採用されたのはほぼ100%男性のみで、女性は一般職という昇進なしのポジションにしか採用枠はありませんでした。
新興企業についてもあまり差はありません。新興企業7社のうち6社までは男性によるリーダーシップのもと設立、経営されています。
戦後、日本は女性の参画なしで経済的成功を納めるという奇跡を成し遂げました。しかしこのモデルが限界に来ていることは周知の事実です。Goldman Sachsのリサーチによると、日本経済が女性を真の意味で活用した場合、GDPの押し上げ効果は13%にもなるそうです。65歳以上の人口が総人口の25%以上となった今、そしてその比率が今後更に高まるという事実、また移民活用という選択肢がない事実を見据え、全ての日本企業が今後女性を活用していかなければならいのは自明の理です。女性の活用に長けたシステムを導入し、成功の兆しを見せている企業もありますが、まだ少数派です。女性が真の意味で経済活動にイノベーションをもたらし、貢献できるような社会を作ることは、企業だけでなく、男性も女性も含め日本全体が取り組まねばならない課題です。
以上、Wall Street Journalより要約引用しました。
http://www.wsj.com/articles/japan-inc-hires-more-women-but-men-still-hold-top-jobs-1447136380
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