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ドラッカー研究所 経営トップ番付 マイクロソフトが1位

 

ドラッカー研究所による今年の企業番付「経営トップ250」で最高クラスの評価を得た企業は、既に2年近く続いている新型コロナウイルスのパンデミックに伴う経済の混乱をうまく活用した企業だった。コロナ禍は、人々の働き方や消費行動を変えた。

マイクロソフトは、今年の番付で総合1位の座を維持した。同番付は、著名経営学者の故ピーター・ドラッカー氏が示した基本原則に従って、最も効率的に経営されている企業を選び出している。マイクロソフトは、クレアモント大学院ドラッカー研究所の研究者らがまとめた同番付を構成する主要5項目のうち4項目で、6位以内に入った。この4項目は「従業員の関与と人材開発」、「イノベーション(技術革新)」、「社会的責任」、「財務体質」。残り1項目の「顧客満足度」では、同社は今年の調査対象となった846社中、261位だった。

今年の総合順位2位はアマゾン・ドット・コムで、以下はアップル、IBM、インテルの順となり、上位5社はすべてハイテク企業が占めた。

ドラッカー研究所のエクゼクティブディレクター、ザカリー・ファースト氏は、番付の上位企業について「こうした企業は経営管理が良好であり、大混乱の状況を最大限に活用してきた。過去1年間は、経営革新の進め方と価値を知っている企業にとって良い時期だった」と語った。

今回の番付で経営分析の元になったデータは6月末までのものであり、パンデミックの時期に加え、その後の経済回復初期の数カ月間の影響も反映している。

マイクロソフトの総合スコアの伸びは、ドラッカー研究所が2017年に同企業番付を開始してからの全ての企業の伸びを上回った。同期間の「技術革新」のスコアの伸びも、全企業で最大だった。サティア・ナデラCEOは2014年にCEO職を引き受けて以降、クラウド・コンピューティング事業の構築を押し進めてきた。同事業は過去数年間にわたって好調を維持している。

ハーバード・ビジネススクールのウィリー・シー教授(経営学)は、「マイクロソフトにおいて印象的なのは、サティア・ナデラ氏が自らの監督下で成し遂げたことだと思う。彼は古いものを手放し、新しいものに移行してクラウドを最優先する意欲をみせた。それは重要な決断だった。多くの組織は古いものを手放すのに苦労している」と述べた。

マイクロソフトのクリス・カポセラ最高マーケティング責任者(CMO)は、パンデミック期間中の同社の強さについて、「われわれは適切な時に適切な場所にいたのだと思う。クラウドへの改革を行ったことが、当社の成功の極めて大きな部分を占めている」と説明した。

ナデラ氏は今年11月、保有するマイクロソフト株の約半数を売却し、同社の成功による利益の一部を得た。ワシントン州レドモンドに本拠を置く同社は、米証券取引委員会(SEC)への報告で、ナデラ氏が2日間で保有する170万株近くのうち83万8584株を売却したことを明らかにした。この取引により、ナデラ氏は2億8500万ドル(約322億円)以上を得た。同社は同氏が個人の資金計画と投資の分散上の理由から、株式を売却したと述べた。

2021年に全てのハイテク企業が好調だったわけではない。今年の番付では、パンデミックの初期に好調だった一部企業への熱が冷めた。ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは1年前に200位以内に入ったが、「顧客・従業員満足度」のスコアが低下した結果、250位の圏外となった。多くの人々がパンデミック期間中の2年近くにわたってリモートワークをした結果、世間にはノンストップのビデオ会議の時代に疲れ切っている兆候が明確に現れている。ただし、企業各社はフレキシブルな働き方が今後も続くとの見方を示している。

IT大手グーグルの親会社のアルファベットは、「従業員の関与・人材開発」が17ポイントの下落となったほか、「技術革新」と「社会的責任」の項目も低下し、ランクを8つ下げて13位となった。

警告サイン

どの企業にも欠点がある中で、「経営トップ250」は、企業経営上でしばしば対立するさまざまな優先事項について、幅広い項目にわたって均衡を保つことにとりわけ優れている企業の選定を目指している。例えば、企業の順位を決定するために採用されている34項目には、業界平均と比較した従業員給与、特許申請件数、株主の総合利益の3年間平均などが含まれている。

調査担当者はまた、ドラッカー理論に基づくスコアカードのうちで、1つかそれ以上の項目についてとりわけ低い得点の企業を明確にする「レッドフラグ(警告サイン)」制度を利用している。レッドフラッグは、ある企業の得点項目に1つでもその項目があれば、たとえ他のすべての項目が高い評価を得ていたとしても、影響が同社の事業により幅広く影響を及ぼす前に、この弱い部分を改善する必要があるという警告サインになる。

今年の調査ではトップ250社のうち、産業界の幅広い分野にわたり合計56社がレッドフラッグの項目がある企業となった。これらの企業では、「従業員関与・人材開発」でスコアの低かったオールステート、ウォルマートのほか、「顧客満足度」でフィリップ・モリス・インターナショナル、ウェルズ・ファーゴ、「イノベーション」でナスダック、「社会的責任」でテスラ、「財務力」でヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス、デルタ航空がレッドフラッグの該当となった。

フェイスブックの親会社メタ・プラットフォームズは、「顧客満足度」の項目が低いとしてレッドフラッグの対象となった。メタは総合ランキングで、旧フェイスブック時代の昨年の12位から31位へとランクを19下げた。特に、フェイスブックが一部のユーザーに悪影響を及ぼしているとされていることや、誤った情報の取り扱いなどへの批判が続く中、同社の顧客満足度は他の項目と不釣り合いなほど低かった。ドラッカー研究所の調査担当者らは、メタのデータ上の総合的状況は大手たばこ会社のものと似ていると指摘した。たばこ会社は財務力では高得点を得ているものの、顧客満足度の得点は低い。

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。
https://www.wsj.com/articles/best-managed-companies-2021-how-they-made-it-to-the-top-11639168146?mod=Searchresults_pos1&page=1

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