共有オフィスのウィーワーク(WeWork)、マンハッタン最大のテナントに
タクシーのライドシェア、居住空間の一部をシェアするシェアハウス、住居や部屋を貸し出す民泊等、交通手段や生活インフラを共有するビジネスモデルが確立され、大きな市場となるまでにそれほど長い時間はかからなかった。オフィススペースと共有するビジネスも例外ではない。マンハッタンでは共有オフィス賃貸を手掛ける新興企業ウィーワーク(WeWork)が、オフィステナントのトップとなった。
背景には、多くの中小企業、さらには大企業の間でも柔軟なスペースの需要が増えている現象がある。
ウィーワークのマンハッタンの賃貸スペースは530万平方フォート。 米不動産サービス大手クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、ウィーワークが最近契約を結んだ「ペンプラザ」内の25万8344平方フィートを含めた同社のリース総面積は、米銀行大手JPモルガン・チェースが保有または賃貸契約を結んでいる総面積の520万平方フィートを上回る。
商業不動産サービス大手の米CBREグループによると、ウィーワークをはじめとするシェアオフィス運営企業は2018に入り勢いを増し、年初から8カ月にマンハッタンで新たに結ばれたリース契約の9.7%を占めるまでになった。17年通年ではわずか3.3%だった。
シェアオフィス運営各社のスペースは当初、新興企業が占めていた。ウィーワークが提供する快適なラウンジやスライスしたキュウリを浮かべた冷水、ビールといったサービスは好評を博した。
ただ、シェアオフィスの急速な成長を巡っては、長期にわたる景気拡大の産物に過ぎず、景気が減速すれば新たな難局に直面するとの懐疑的な見方もある。
ウィーワークなど各社は通常、10〜15年の固定契約を結んでいるが、顧客はごく短期で退去できる。そうすれば、シェアオフィス運営業者は長期にわたって空室を抱えることになりかねない。
欧州を拠点とするシェアオフィス企業リージャス(現IWG)が2001年に陥ったのは、まさにそうした状況だった。同社はIT(情報技術)バブルのさなかに急成長したが、バブル崩壊で賃貸契約と入居率が激減した。同社の米国部門は03年、連邦破産法の適用申請に追い込まれた。
ソフトバンクグループ はシェアオフィス事業に大きく賭けている。同社をはじめとする投資家はウィーワークに合計50億ドル余りを出資。ウィーワークは17年、200億ドルと評価された。複数の関係者によると、創業8年の同社は現在、追加の資金調達の手続き中で、評価額は約400億ドルに達する見通しだ。
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