コトラプレス (kotorapress)|株式会社コトラ

ビジネスパーソンのインテリジェンス情報サイト

鴻海、東芝の半導体事業に270億ドル提示

 

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は、東芝の半導体メモリー事業の買収額として270億ドル(約3兆円)を提示した。複数の関係者が明らかにした。

電子機器受託製造サービス(EMS)で世界最大手の鴻海は、昨年のシャープ買収でも同様の戦略を採用した。鴻海は他の応札者を大きく上回る買値を提示し、最終的に政府系ファンドの産業革新機構に競り勝った。

今回の鴻海の提案は日本政府の立場を厳しくする可能性もある。関係者によると、東芝の半導体事業を国の戦略的資産とみなし、日本企業または日米の連合による取得を目指す案などが政府の一部で出ている。だが鴻海が最も高い価格を提示した場合、厳しい財務状況にある東芝が断るのは難しいとみられる。

アナリストらの試算によると、東芝の半導体メモリー事業の適正価値は1.5兆~2兆円。関係者によれば、3月末に締め切られた1次入札で鴻海に次ぐ入札価格は約2兆円だった。鴻海の提示価格は破格である。しかし、この業界では高プレミアムは珍しい話ではない。昨年Western DigitalがSanDiskを190億ドルで買収した際の直前株価に対するプレミアムは63%であった。

鴻海は、日本政府が半導体メモリーという知的・戦略的資産が海外資本の傘下に入ることに懸念を持つことを十分承知した上で、適正価値の50%ものプレミアムを提示している可能性がある。また、鴻海は需要の拡大しているNANDフラッシュ・デバイス等、高利益率製品の製造にはまだ着手していない。鴻海による東芝半導体メモリー買収は、同デバイス市場で20%の市場シェアを有し、鴻海にとっては50%ものプレミアムを払う価値があると見ているのかもしれない。

東芝半導体メモリー事業の売却プロセスはまだ最終段階に入っていない。東芝と鴻海は、この入札プロセスについてのコメントを控えた。今後も売却プロセスからは目が離せない。

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。

https://www.wsj.com/articles/foxconn-could-bid-up-to-27-billion-for-toshibas-chip-business-1491833399

おすすめ記事

1
独立社外取締役(コーポレートガバナンス・コード)について

コーポレートガバナンス・コード 2014年6月にとりまとめられた「『日本再興戦略 ...

2
独立社外取締役(コーポレートガバナンス・コード)の独立性基準について

独立社外取締役(コーポレートガバナンス・コード)の独立性基準 2014年6月にと ...

3
これまでの社外取締役/社外監査役の属性・兼任等の状況と、今後の 独立社外取締役(東証ベース)の選任についての調査・考察

株式会社コトラによる社外役員実態報告について 人材ソリューションカンパニーの株式 ...

4
職場の同僚と理解し合えないのは性格の不一致~人間関係に現れる価値観のちがい 組織理解vs他者理解~

 職場の人間関係におけるアプローチについて、価値観の多様性から考えてみます。 相 ...

5
バブル体験の有無が価値観の差~70年代生まれと80年代生まれの価値観にみる世代ギャップ~

上司が、部下に的確に仕事をしてもらうために知っておくべきこと 「今の若いものは、 ...

 - コンサル/IT業界