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Blackberryの栄枯盛衰物語

 

カナダ、オンタリオ州ウォータールーのベーグル店の上にあったオフィスから飛び出した携帯型端末「ブラックベリー」は、短期間で世界トップクラスのブランドに成長した。誰もが持ちたがるステータスシンボルとなり、コミュニケーションのあり方も変えた。この記事の読者の中にも、5-6年前までブラックベリー端末を持ち歩いていたビジネスマンは多いであろう。

しかし、世界のスマートフォン市場で圧倒的な地位を誇ったのもつかの間、ブラックベリーはiPhoneやサムスン・ギャラクシーに主役の座を奪われた。

ピークだった2011年には5230万台に上った販売台数も、直近の事業年度では320万台に減少。通信機器メーカーのブラックベリーは9月28日、自社でのスマートフォンの設計と生産を打ち切り、外部委託に切り替えると発表した。

ブラックベリーは短期間で信じがたいほどの成功を納めたが、それに纏わる苦悩も多かった。ブラックベリーの創業者で主席エンジニアだったマイク・ラザリディス氏が携帯端末を研究している間、会社は何年もウォータールーでくすぶっていた。ようやく2000年代初頭に、ブラックベリーは電子メールを送受信できる世界初の携帯型端末を発表し、突然、世界の携帯端末トップメーカーの仲間入りをした。

以降、4半期の売上高が前期比で20%以上増加するような勢いが続く。当時、工場が1つしかなかったブラックベリーは世界的な需要増に歩調を合わせ、新工場を開設しようと奔走した。スタッフの採用にも拍車がかかり、毎週月曜日の新入社員説明会には参加者が何台ものバスでやってくるようなこと珍しくなかった。

実務に追われたブラックベリーの幹部は、わずかなミスも許されない、非常に速いテンポで革新を遂げる携帯端末の技術競争に目を向けなくなってしまった。ラザリディス氏らブラックベリーのチームが成功したそもそもの要因は、不安定なデータ用ネットワーク上での周波数帯域を浪費しない新技術を編み出したことにあるが、要因はもう一つあった。それは充実した機能を搭載したキーボードのおかげで初心者でも簡単に電子メールのやりとりができることだった。その技術は商品出荷後も、常に向上のための研究が必要だった。だがラザリディス氏とCEOのジム・バルシリー氏は急増する需要への対応にばかり目を向け、シリコンバレーの大手ライバルから目を離してしまった。そしてあっという間に追い抜かれてしまった。

texting-1490691_960_7202007年の夏、アップルが発売した初代iPhoneを解体したラザリディス氏は、しゃれた本体に非常に多くのコンピューター機能が収められていることに衝撃を受けた。「ばかげている」とラザリディス氏は同僚に言った。「動画や写真の処理がインターネット通信で処理できるわけないじゃないか」と。しかしそれは当時の通信ネットワーク環境での話であり、ラザリディス氏はインターネット環境そのものの未来を見ていなかったのだ。

ラザリディス氏らブラックベリーの幹部は、野心に満ちたアップルがゲームのルールを変えたことを理解していなかった。アップルは通信大手のAT&Tと独占契約を結び、AT&Tにとってはこれがネットワーク更新の大きなインセンティブとなった。ネットワークが更新されたおかげで、当初会話の途中に電話が切れる現象に怒りを募らせていたiPhoneのユーザーが、人気ゲーム「アングリーバード」で遊んだり、アプリをダウンロードできるようになった。ブラックベリーが長年、顧客に提供できなかったサービスだった。

2007年に検索大手のグーグルが端末メーカーに対し、携帯型端末向けに開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」の使用を無償で認めると発表すると、韓国のサムスングループなど世界的な端末メーカーは低価格端末に無償のアンドロイドを搭載し、ブラックベリーの顧客を奪うことができるようになった。2012年にはサムスンは世界をリードするスマホメーカーになっていた。

ブラックベリーの苦悩は深まり、同社の時価総額も市場でのシェアも急落した。2013年を迎える前に、ラザリディス氏とバルシリー氏は同社を去った。ブラックベリーの失敗のあまりの深刻さに、数年前にはラザリディス氏でさえブラックベリーが早晩時代遅れになることを悟った。

世界のスマートフォン市場でのブラックベリーのシェアは今や1%を切っている。

携帯端末ほど競争の激しい製品はないかもしれない。勝てば世界の巨大な市場とインターネット環境の支配者となるが、少しでも時代や技術を見誤るとあっという間に転落するのだ。ブラックベリーは誕生から栄華を極め、そして転落するまでに、たった十数年しかかからなかった。

http://www.wsj.com/articles/the-fast-and-fleeting-times-of-the-blackberry-1475098984

www.wsj.com
BlackBerry Ltd. has given up on designing and producing its smartphones, outsourcing that work instead. The device’s woes were in many ways a product of its rapid and improbable success.

 

 

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