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ソフトバンクの英ARM買収、Brexitとの兼ね合い

 

euro-96598_150英国で最も成功を収めているテクノロジー企業といっても過言ではないARM社の、ソフトバンクによる大型買収は、Brexit(英国のEU離脱)が後押ししたとの見方がある。実際のところはどうなのだろうか。

ソフトバンクグループは英半導体開発大手ARMホールディングスに243億ポンド(約3兆4100億円)での買収を提案した。ARMの総勢4000人の従業員が製造するチップは世界のスマートフォンの95%に使用されている。これは、英国には世界に通用するエンジニアを生み出す教育制度や、知的財産を守る法制度、イノベーションを促す税制・規制があることを証明している。

ARMは、少なくとも短期的にはBrexitによる影響が最も小さいとみられる英国企業の1社でもある。同社は国内外で何も製造していないため、英国が欧州市場へのアクセスを失ってサプライチェーンが遮断されたり、英政府が他国との貿易協定の妥結に苦戦したりしても、ほとんど支障はない。

更に、Brexit決定以降の英ポンド下落により、「たなぼた」とも言える大きな恩恵を受けてもいる。売上高の大半が米ドル建てであるため、ポンド建ての利益は増えている。ARMの株価はBrexit決定以降、約17%上昇している。

ソフトバンクがARM社買収に興味を持つのも不思議ではない。ポンドの急落で買収条件が有利になっている今は尚更だ。ポンド安の影響で、円ベースでのARMの株価はこの1年で約15%下落している。

ソフトバンクの孫CEOは7月18日、ARM社買収は、ボンド急落で買収額が割安になったからではないと主張した。だが、ARMの7月15日終値を約43%上回る価格を支払うソフトバンクの背中を、ポンド安が後押ししたのはほぼ確実である。

ARMにもBrexitのリスクはある。孫氏がARMの英国の従業員数(現在1600人)を今後5年で倍増させる考えを示したことから、移民政策が最も重要な問題だ。Brexit支持者の移民制限派がメイ首相の新政府で幅を効かせた場合、この採用目標を達成するのは難しいだろう。テクノロジー企業は世界の人材市場に依存しており、ARMが必要な人材を英国に呼べなかったら、研究開発拠点を海外に委ねなければならなくなるだろう。

ソフトバンクのARM買収は、Brexit決定後も英国の経済活動が続いていること、そして英国は今も世界の資本にとって魅力的な投資先であることを裏付ける。ただ今後は英国の新政府が移民をどれだけオープンに受け入れられるかどうかにもかかっている。

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。

http://www.wsj.com/articles/armed-for-brexit-1468870601

www.wsj.com
Some firms benefit now, while others must see if liberalization happens, says an editorial in The Wall Street Journal.

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