独バイエル、モンサントに買収提案
5月18日夜、米除草剤・農業バイオ技術大手モンサントは、ドイツの製薬・化学大手バイエルから買収提案を受けたことを明らかにしました。モンサントの取締役会は、財務アドバイザー及び法務アドバイザーと相談しながらこの提案について検討しているようです。
買収案の詳細は不明ですが、買収額はモンサントの現在の時価総額420億ドルを超えることは確実です。買収が実現すれば、年間売上高が670億ドルに上る世界最大の種子・農薬会社が誕生します。農業関連企業の再編がさらに進むことにもなります。過去半年間では、米化学大手のダウ・ケミカルとデュポンが合併することで合意した他、スイスの農業化学大手シンジェンタが中国化工集団(ケムチャイナ)に買収されることで合意しました。
ただ、規制当局がバイエルとモンサントの合併を承認するとは限りません。またモンサントが買収案を受け入れなかった場合、当局の承認を得るのはますます難しくなります。
バイエルは売上高で世界最大の種子会社であるモンサントを吸収合併すれば、農業分野に大きく踏み込むことができます。現在、同分野はバイエルの事業の22%を占めています。モンサントの種子・除草剤の年間売上高は150億ドルに上るため、買収後の新会社では農業分野の売上比率が約40%に上昇します。市場シェアでは、農薬分野で世界36%、トウモロコシの種子は米国市場の36%、大豆では28%を占める業界一の企業となります。モンサントは北米、バイエルはヨーロッパやアジア市場に強いため、買収後の地域補完性もあります。
3年にわたる穀物価格の下落を受けて、農業関連企業は厳しい状況に置かれています。米国の農家の収入は約10年ぶりの低水準に落ち込み、各社は種子価格の引き下げや研究部門の縮小、人員削減を余儀なくされています。モンサントは5月、2016年8月期の利益見通しを引き下げたほか、辞任を約16%減らすと発表しました。
以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。
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