ファイザー、アラガン買収中止を発表－違約金は1.5億ドル

米製薬大手ファイザーは4月6日、アイルランドの同業アラガンを1500億ドル（約17兆円）で買収する計画を撤回すると発表しました。オバマ政権が打ち出したタックス・インバージョン（税率の低い国への本社移転）の取り締まり強化を踏まえた決定です。

 

ファイザーはアラガンに対し、案件総額の0.1％にあたる1億5000万ドルの違約金を支払うことになります。ただこの違約金はファイザーの企業価値2000億ドルから見ると、そう高いとは言えません。

 

もともとこの買収案件は、米ファイザーが外国の製薬会社に比べて高い法人税率を払っていることから会社の競争力が劣ることを懸念し、海外製薬会社を買収することで利益率の高い海外売り上げを伸ばすこと動機の一つとなっていました。将来的には本社をアイルランドに移転（インバージョン）し、アイルランドの低い法人税率を払うことが目的でないかとも憶測されていました。また、アラガンを買収することにより、ファイザーの規模及び財務基盤を強くし、将来的に新薬部門と後発薬部門の組織分割を行うことも買収動機の一つでした。

買収中止により、ファイザーは独自に基盤強化を行っていくことになります。

 

 

タックス・インバージョンを目的とした米国企業の海外買収案件が増えている中、オバマ政権はそれらを「税の抜け穴」として神経を尖らせており、大統領選の焦点の一つにもなっています。

現在米財務省が提案しているルール変更案によると、米国企業が海外企業を買収し、被買収企業が税率削減のためにインバージョン(本社を被買収会社の国に移転すること）を行う場合、被買収企業のサイズが買収企業のサイズの3分の2以上の大きさであることが望ましいとしています。

ファイザーの企業価値は2000億ドル、アラガンは1200億ドル。財務省提案が通った場合、アラガン買収後のファイザーはインバージョンによる法人税転換ができなくなる恐れがあったのです。

ファイザーは2014年にもイギリスの製薬会社アストラゼネカの買収に失敗しています。

 

以上、Wall Street Journalから要約引用しました。

http://www.wsj.com/articles/pfizer-walks-away-from-allergan-deal-1459939739

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