転職時給与設定のいろいろ
転職時給与設定のいろいろ
(WSJ 2015/5/27)
日本では、採用の際に雇用主と被雇用者が給与(Starting Salary)について交渉をすることはまだ稀かもしれません。対して、欧米では新卒採用を除いては給与は一般的に両者の交渉で決定してきましたが、IT関連や新興企業の間でその慣例を破る試みが始まりました。
サンフランシスコのソシアル・ニュース・サイト、Raddit.comやe-commerceサイトのJet.comは、人材採用の際に給与を一般提示し、「Take it or leave it。交渉はしません」との方針を取っています。RadditのInterim Chief Executivのパオ氏曰く、その背景には男女平等概念があるとのこと。一般的に女性は男性より交渉における粘り強さがなく、そのため職務能力が同じでも、男性の方が高い初任給を獲得しやすいのだとか。
全ての職務に交渉能力や押しの強さが必要なわけではないのに、最初の給与交渉で男女差がつくのは不平等であるとの考えから、上記の給与提示方針を採用したそうです。
この方針には賛否両論あり、マイクロソフトの採用担当者等は、「固定給提示制度は被雇用者の『この会社に選ばれて採用された』という感覚をそぎ取ってしまう」と意見しています。
ハーバード大学のバブコック博士、ボウルズ博士は「男性の交渉力は一般的に女性の4倍ある。時に女性が男性と同様に交渉しようとすると、それは必要以上の不快感を交渉相手に与えるケースが多い」と分析しています。
経営コンサルティングや法曹界、金融や政府系機関では、同系職種に従事している就業者も多く、職種ごとの平均給与水準データがとりやすくなっています。しかしそういった伝統的職種以外の仕事が増えているのも事実であり、給与水準設定のための十分なデータが蓄積されていない職種では交渉で給与が決定することが一般的です。ただ交渉によって適正給与が練りだされるわけでは必ずしもありません。
そこで新興企業の多くは、独自の給与オファースタイルを模索しています。固定給提示もその一つであり、例えば、「1.現金100%。2.現金と株式のコンビネーション。3.現金と社員ベネフィットのコンビネーション、等々」といったように10種類の給与選択肢から新入社員に選ばせる形態をとっている会社もあります。
日本の新興企業も、給与設定水準には頭を悩ませることも多いのではないでしょうか?カリフォルニアの事例は参考になるかもしれませんね。
http://www.wsj.com/articles/some-companies-bar-job-applicants-from-haggling-over-pay-1432683568
*この記事はWSJに掲載されたものを要約引用しました。
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